筋肥大(いわゆる「筋肉を大きくする」こと)を目的としたトレーニングにおいて、「高強度トレーニングは必要ない」と思われがちです。確かにボディメイクでは8〜12レップを目安にした中負荷トレーニングが主流ですが、実は高強度トレーニングを戦略的に取り入れることで、パフォーマンス向上や筋力アップにもつながり、結果的に筋肥大の効率が上がる可能性があります。
本記事では、トレーナー歴・ボディビル競技歴のある私が、科学的なエビデンスをもとに、「筋肥大を目的とした人が高強度トレーニングをどのように活用すべきか」をわかりやすく解説します。
高強度トレーニングとは?筋肥大との違い
トレーニングの負荷とレップ数には明確な目的の違いがあります。
レップ数 | 主な目的 |
---|---|
1〜5回 | 筋力向上 |
8〜12回 | 筋肥大(ハイパートロフィー) |
15回以上 | 筋持久力向上 |
つまり、1〜5回で限界を迎えるような「高強度トレーニング」は、筋力を高めたいパワーリフター向けで、筋肥大とは直接関係ないように思われがちです。
しかし実際には、高強度トレーニングをうまく取り入れることで、筋肥大目的のトレーニングにもプラスになる要素があることが近年の研究で示されつつあります。
「ピリオダイゼーション」で筋力と筋肥大を両立
「ピリオダイゼーション」とは、トレーニングの期間を分けて、目的別に負荷やレップ数を変えていく方法です。
- 筋肥大フェーズ:8〜12レップ/中負荷/ボリューム重視
- 筋力フェーズ:1〜5レップ/高強度/神経適応重視
これを段階的に行う「線形ピリオダイゼーション」や、週単位で切り替える「非線形ピリオダイゼーション」があります。
ただし、筋肥大だけを目的とする場合、筋力フェーズを挟むことでトレーニングボリュームが稼ぎづらくなり、非効率になる可能性もあります。
筋肥大目的でも「高強度ウォーミングアップ」は効果的
ここで注目したいのが、「高強度ウォーミングアップ」の効果です。
近年の研究(2021年)では、以下のような実験が行われました。
- 対象:筋トレ経験1年以上の男性
- 実験内容:90%1RMの高重量で2〜3レップのウォーミングアップを行った後、70〜75%1RMの通常セットを行う
- 結果:ウォーミングアップを行った方が、初回セットのレップ数が明確に増加
これは、「PAP(ポスト・アクティベーション・ポテンシエーション)」という生理現象によるものと考えられています。要は、重いものを先に扱うことで、神経系や筋繊維が活性化され、後のセットでパフォーマンスが上がるという仕組みです。
具体的な取り入れ方:高強度ウォーミングアップの実践例
筋肥大目的の人が取り入れやすい「高強度トレーニング」は以下のようにシンプルです。
- 普段のワークアウト前に1セットだけ高強度を行う
- 90%1RM × 2〜3レップ
- 使用するのはその日のメイン種目(ベンチプレス、スクワット等)
- 5〜10分休憩
- 通常通りの中負荷・中レップ(8〜12回)を実施
こうすることで、本番セットのレップ数が伸びやすくなり、総トレーニングボリュームが向上する可能性があります。
注意点:関節や疲労のリスクに要注意
高強度トレーニングは怪我のリスクも伴います。
特に関節に不安のある方、フォームが安定していない方、初心者は無理に取り入れるべきではありません。
2017年の研究によると、1時間あたりの怪我発生率は以下の通り:
- ボディビル式:0.24%
- パワーリフティング式:1.0%〜4.4%
無理をすると逆効果なので、自身のコンディションを見ながら取り入れてください。
まとめ:筋肥大目的でも「高強度」を味方につけよう
高強度トレーニングは筋力向上がメインの目的だが、適切に取り入れれば筋肥大の効率もアップする可能性がある
特に「高強度ウォーミングアップ」はボディビル式トレーニングとの相性もよく、パフォーマンスを引き上げる
ただし、怪我リスクや疲労には注意して、1セットだけ、休憩も長めに取るなど安全面も考慮すべき
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