筋肉を増やす方法:分割・頻度・ボリューム・レスト・たんぱく質・カロリーを“現場思考”で最適化する

筋力アップ

本記事は、僕自身の筋トレ経験、トレーナーとしての現場感覚、そして複数研究を突き合わせて得た実践的な指針です。
まず、全体像を示すと、「分割と頻度」「ボリュームとセット数」「最大重量アップの設計」「レスト時間」「たんぱく質量」「カロリー設定」の6本柱を、週単位の観察と微調整で噛み合わせるのが王道です。
なぜなら、成長は一要素で決まらず、結局は頻度×量×回復×栄養の掛け算で最大化するからです。


1. 分割方法と頻度:通える日数×熟練度で決める“骨格”

分割は全身法・上下分割・3分割・5分割の4択が基本です。とはいえ、まずは通える日数フォーム/疲労管理の技術で選ぶのが現実的です。
👉全身法と分割法筋トレはどちらが正解?
👉週1で維持?週2で伸ばす?最新研究で読む「筋トレ頻度」の最適解

週2回前後なら:全身法一択

理由は単純で、上下分割だと週1回しか回らない部位が出やすく、とくに上半身(背中・胸・肩など)が頻度不足になりがちです。
したがって、全身法で主要部位を毎回触るほうが、技術の学習速度と最低限のボリュームを同時に満たせます。

週3〜4回なら:上下分割または3分割

ここでは7日間で同部位を2回回せるため、フォーム精度が上がりやすくなります。さらに、1回あたりのボリュームも十分確保しやすいので、伸びが安定します。

それ以上通えるなら:3分割 or 5分割

ここからは好みも出ます。

  • 3分割の強み頻度。7日で2回(重なると3回)も可能です。ただし1日あたりの部位ボリューム5分割ほど高密度にはなりにくいことも。もっとも、週間ボリュームとしては同等以上に設定できます。
  • 5分割の強み1日の密度(強さ)。1日1部位へ集中できるので、5〜6種目・合計30セット前後まで多角的に刺激可能です。一方で、連休やオフで回転が遅れると頻度が稼ぎにくいため、週間ボリュームが固定化しがちです。

初心者は“頻度”最優先

なぜなら技術が未熟だからです。たとえば、週2回×8時間(計16時間)より、毎日2時間×7日(計14時間)のほうが技術習得が速いという直感は、筋トレでも有効です。
したがって、初心者は全身法や高頻度の構成を軸に、可動域・軌道・テンポを毎回揃えます。練習を積むと、重量もボリュームも自然に伸びるようになります。

熟練者でも“7日で2回転”を意識

5分割であっても、7日内で同部位が2回回る設計に寄せると伸びが安定します。結局、週間ボリューム=その週に同部位へ与えたセットと反復の合計になります。
なので、「頻度×ボリューム」で技術と肥大の両方をコントロールしましょう。


2. ボリュームとセット数:6〜12回帯で“最大ボリューム”を探す

本記事ではロードボリューム(重量×回数×セット)を指標にします。
例:10kg×10回×3set=300kg

同じボリュームでも“負荷帯”で効きが変わる

  • 10kg×10回×3=300kg
  • 12kgで10・8・7回12×25=300kg → ボリューム同等
  • 13kgで8・7・5回13×20=260kg → 見劣り

つまり、自分が最大ボリュームを稼げる負荷帯を選ぶのが合理的です。ただし、同じ1,500kgでも

  • 100kg×5回×3=1,500kg
  • 50kg×10回×3=1,500kg
    この二つが同じ筋肥大になるとは限らないのが現実です。繊維動員や張力時間の質が違うため、目安として6〜12回のレップレンジで最大ボリュームを狙うのが、再現性の高い落とし所です。

セット数は“停滞のたびに少しずつ”

初心者は1部位あたり12セット前後/週でも十分伸びます。停滞を感じたら+2〜4セット増やし、約3か月観察→それでも伸びなければさらに微増のイメージが安全です。
なお、トップの中には
週間60セット級、あのアーノルド・シュワルツェネッガーですら週間60セットほどです。我々はそこまで増やしすぎるとオーバートレーニングとなってしまう可能性が高いと考えます。まずは、必要最小限で伸ばす→停滞したら微増が、疲労管理の面でも賢明です。


3. 最大重量アップ:前半“神経”、後半“量”の二刀流

最大重量を伸ばすには、筋肥大(量)と神経系の適応(重さ慣れ)の両輪が必要です。

  1. 前半=重さ慣れ(2〜3回域×2〜3セット)
    ベンチプレスなら、ラックアップ〜ブレーシング〜下降の動作に高重量の恐怖を消す練習を入れます。これにより、高い張力を安全に扱うスキルがつきます。
  2. 後半=ボリューム確保(7〜12回帯)
    重量を落として総反復数を稼ぐ。続くダンベル・ケーブル・マシンでは、可動域・テンポ・安定化を丁寧に揃え、合計ボリュームを担保します。

この配合で、神経的な天井筋肉の断面積を同時に押し上げ、重量の伸びと見た目の厚みを両立できます。
👉筋肥大目的でも「高強度トレーニング」は有効?効果と取り入れ方を徹底解説!
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4. レスト時間:時間当たりボリュームで“最適解”を計算する

結論から言うと、あなたの現実の制約下で“最短時間あたり最大ボリューム”を出せるレストが最適です。なぜなら、回復が足りないとレップが落ちる一方、長く休みすぎると総時間が伸びて集中も切れがちだからです。
👉筋トレ時間が長い場合の悪影響|60分を超えると筋肉が減る科学的理由

ケース比較(動作時間を除外して単純化)

  • 休憩2分×5セット(レスト4回=計8分)
    100kgで10・8・7・5・3回 → 合計33回=3,300kg 412.5kg/分
  • 休憩4分×5セット(計16分)
    各10回 → 50回=5,000kg(ただし時間は倍)312.5kg/分
  • 段階増(2:20→2:40→3:00→3:20=計11分20秒)
    10・9・8・8・7回 → 42回=4,200kg 376.1kg/分

このように時間当たりのボリュームで見ると、2分固定のほうが効率的と判断できる場面もあります。
もっとも、後半セットほど回復需要が高いため、前半やや短め→後半やや長め微調整が実戦的です。

長時間セッションの“落とし穴”

  • コルチゾール上昇(分解寄り)
  • テストステロン低下(概ね60〜90分以降で恩恵が薄れやすい)
  • 成長ホルモン分泌の鈍化(ダラダラ化で顕著)
  • グリコーゲン枯渇→mTOR反応の弱まり

もっとも、集中が切れず高品質を維持できる人もいます。
したがって、60〜90分を目安に、集中維持×時間当たりボリューム最大化の交点を自分の最適として見つけてください。


5. たんぱく質量

たんぱく質は、目的によって適量が変わります。まず、体重×1.25gという案は少なめ。一方で、体重×1.6gを推す声は多く、健康促進やダイエット中心ならここが最適だと考えています。
また、「体重×3.2gまで摂るべき」という意見もありますが、ここまで上げると肝臓への負担が大きいため、耐えられる人だけに限られるでしょう。

ただし、筋力アップ・筋肥大を狙う場合、僕の体感では1.6g/kgよりも2.4g/kgのときのほうが力が出て、成長速度も明らかに違いました。研究はいろいろあり、人それぞれと言えばそれまでですが、僕自身は2.4g/kgで確実に成長を感じました。さらに、トップのボディビルダーの多くが2.4g/kg以上を摂っている印象もあります。できれば体重×2倍(2.0g/kg)前後は確保したいところです。

3.2g/kg:肝臓負担が大きく、耐えられる人のみ検討可
1.25g/kg:少ない
1.6g/kg:健康促進・減量メインなら最適
2.4g/kg:筋力アップ・筋肥大では体感的に伸びが違う


6. カロリー設定:±200kcalレンジを“土台”に微調整する

推定消費に対して−200〜+200kcalが、増やしすぎず・削りすぎない“成長レンジ”です。

  • −200kcal前後体脂肪をほぼ増やさず、ゆるやかに落としながら記録も伸ばす狙い。
  • +200kcal前後無駄太りを抑えつつ、扱う重量とボリュームを伸ばしやすい。

−300kcal以下筋合成のトリガーを削りやすく、+500kcal以上体脂肪増→インスリン感受性低下を招きやすい。結果として、アミノ酸・グルコースの筋流入が鈍り、脂肪合成に流れやすくなる懸念があります。さらに、体脂肪増はアロマターゼ活性↑→テストステロン低下傾向を後押しし、ストレス慢性化でコルチゾール高めにも振れがちです。
つまり、増やしすぎも減らしすぎも非効率。だからこそ±200kcalを基準に、週単位で体重・見た目・パフォーマンスを観察し、50〜100kcal刻みで微調整しましょう。

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実装ガイド(今日からやること)

  1. 分割を固定:通える日数で全身/上下/3分割/5分割を決め、7日で同部位2回転を意識。
  2. レップ帯を固定6〜12回帯最大ボリュームを出せる重量に調整。
  3. セットを段階的に増減12セット/週/部位から開始→停滞なら+2〜43か月観察
  4. 前半“神経”・後半“量”:主要コンパウンドは2〜3回域を少量→その後7〜12回帯で稼ぐ。
  5. レストは効率基準時間当たりボリューム最大化前半短め→後半やや長めに微調整。
  6. PとKcalを土台化:たんぱく質1.6→2.0→2.4g/kg、カロリーは**±200kcalレンジ**で開始。
  7. 週次レビュー:体重推移・見た目・張り・記録(重量/回数)を同じ条件で記録し、1要素ずつ微調整。

まとめ

  • 頻度×ボリュームを設計し、6〜12回帯最大ボリュームを狙う。
  • 最大重量は前半“神経”+後半“量”で同時に伸ばす。
  • レスト時間当たりのボリューム最大化を指標に前後半で最適化
  • たんぱく質1.6→2.0→2.4g/kg段階的に。
  • カロリーは±200kcalを土台に週単位で微調整。

結局、やることはシンプルです。観察→微調整→固定→再観察。この“地味な最適化”が、最短最速に見える積み上げの正体です。

マインド

正直、ここまでたくさんの記事を紹介してきましたがたくさんの理論があり、それには全て根拠とエビデンスがあります。
ですが、これが正解でこれが間違いと断定するには情報が多すぎます。一人ひとりに合ったやり方が必ず存在すると思います。
ただ一つ、正解があるとすればそれは「継続する」ことではないでしょうか。
ストレスなく長い期間継続できる、より良い方法を模索しながら頑張っていきましょう💪

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