ビートルート(硝酸塩)は筋トレとダイエットに効く?NOの仕組み・効果・飲み方を論文で解説

未分類

ビートルート(ビーツ)ジュースが「パンプする」「持久力が伸びる」と言われる理由は、硝酸塩(nitrate)にあります。
ただし、ここで大事なのは“硝酸塩そのもの”が魔法というより、体内で一酸化窒素(NO)に変換されて働く点です。

そこで今回は、筋トレ・ダイエット・その他の体の変化に対して、ビートルート(硝酸塩)が何を変えるのかを、仕組みから丁寧に解説します。
さらに、研究でよく使われる摂り方(量・タイミング)まで、今日から使える形に落とし込みます。

先に結論:硝酸塩は「脂肪を直接燃やす」より「運動の質を底上げする道具」

まず結論から言うと、硝酸塩は体脂肪を直接落とすサプリではありません。
一方で、運動の血流や効率に関わるので、結果としてトレーニングの質が上がりやすい、というのが現実的な立ち位置です。

特に期待しやすいのは次の3つです。
・持久系:同じ出力に必要な酸素コストが下がる方向に働きやすい 
・筋トレ:最大筋力よりも、反復・出力・終盤の粘りに寄りやすい
・回復:筋損傷(筋肉痛)の回復が早まる可能性がある 

ただし、効果は個人差が大きいです。だからこそ、効く条件を理解して「当たりの日」を増やすのが正解です。

そもそも硝酸塩(nitrate)とは?

硝酸塩(NO3-)は野菜に多く含まれる成分で、特にビートルート、ほうれん草、ルッコラなどが代表的です。
そして硝酸塩の価値は、体内でNO(ニトリックオキサイド)に変換されることにあります。

NOは血管を広げて血流を良くし、運動時の代謝環境にも影響します。つまり、筋肉へ「届きやすくする」「動きやすくする」方向に働きます。

仕組み:硝酸塩 → 亜硝酸塩 → NO(口の中がスタート地点)

ここが硝酸塩の面白いところです。なぜなら、NOを作るルートが“口の中”から始まるからです(エンテロサリバリー・サイクル)。

流れはざっくりこうです。
1)摂取した硝酸塩が唾液に濃縮される
2)口腔内の常在菌が硝酸塩を亜硝酸塩(NO2-)へ還元する
3)亜硝酸塩が胃や血液・組織でNOに変換される

さらに、運動中のように酸素が少ない、筋内が酸性に傾く、といった状況ではNOが作られやすいと考えられています。つまり、きつい運動ほど“回路が回りやすい”のが特徴です。

超重要:殺菌系マウスウォッシュは、効果を弱める可能性

この仕組みは口腔内細菌が鍵です。したがって、殺菌系マウスウォッシュ(例:クロルヘキシジン系)を使うと、亜硝酸塩が作れず、NOルートが弱まる可能性があります。実際に、唾液中の亜硝酸塩生成が大きく下がる、血圧に影響が出る、といった報告があります。

ビートルートを使う日は、摂取の前後は“殺菌タイプ”を避けるのが無難です。歯磨きや水ですすぐ程度は問題になりにくいことが多いですが、強い殺菌タイプは要注意です。

筋トレへの影響:狙いは1RMより「反復」「パワー」「終盤の粘り」

筋トレでよくある誤解は、「硝酸塩=筋力が上がる」です。
しかし実際は、最大筋力(1RM)を安定して上げる万能サプリではありません。

一方で、反復回数、総仕事量、挙上速度、パワー系の指標でプラスが出る研究はあり、レビューでもその傾向が整理されています。

体感としては、次のような形で出やすいです。
・同じ重量での反復回数が少し伸びる
・セット終盤の失速が少しマシになる
・挙上速度や瞬発の出力がわずかに上がる場合がある

ただし、競技レベルが高いほど効果が小さくなる傾向も指摘されます。したがって、初心者〜中級者や、普段の食事で硝酸塩が少ない人ほど体感しやすい可能性があります。

持久力・有酸素への影響:再現性が高い“看板分野”

硝酸塩が一番有名なのは持久系です。ポイントは「同じ強度でも酸素コストが下がる」方向に働くことです。

実際に、Larsenら(2007)は硝酸塩摂取でサブマックス運動の酸素コストが下がり、効率が上がったことを報告しています。
また、Baileyら(2009)もビートルートジュースによって低強度運動のO2コスト低下と、高強度運動の耐性向上を示しています。

つまり、同じ運動をしても“少し楽に回せる”可能性がある、ということです。
そしてこれは、減量中の有酸素やHIITの継続にも地味に効いてきます。

HIIT・スプリントへの影響:効くことはあるが、万能ではない

短時間高強度(HIIT、反復スプリント)でも、パフォーマンスが小さく改善する可能性がある、というレビューがあります。
ただし、全指標が一様に上がるわけではありません。したがって、「効いたらラッキー」ではなく、相性チェック前提で使うのが賢いです。

回復への影響:筋肉痛(EIMD)からの戻りを早める可能性

トレ後の筋肉痛や筋損傷(EIMD)に対して、硝酸塩(ビートルート)が回復を助けた可能性を示すシステマティックレビュー+メタ解析があります。

Jonesら(2022)のメタ解析では、圧痛(痛み)や、カウンタームーブメントジャンプの回復などでプラスが示唆されています。一方で、CK(クレアチンキナーゼ)など一部の指標では差が出にくい点もまとめられています。

したがって、回復目的ならこう使うのが現実的です。
・脚トレ、高ボリューム週、撮影前など「疲労を残したくない時」に合わせて試す
・体感が良い人だけ継続する
・効かなければ切り替える(これが正しい)

ダイエット(体脂肪)への影響:直接落ちる証拠は弱い。だから“間接で使う”

ここはハッキリ言います。
ビートルート(硝酸塩)で体脂肪が直接ゴリゴリ落ちる、という強い結論は出ていません。

実際に、体組成(体重・BMI・体脂肪量・除脂肪量など)への影響をまとめたGRADE評価付きのシステマティックレビュー+メタ解析では、明確な変化は示されませんでした。

では、ダイエットで意味がないかというと、意味が出るなら“間接”です。
つまり、運動が少し回しやすくなる → 運動量が増える → 結果として減量が進みやすくなる、というルートです。

減量の勝敗は、結局カロリー収支と継続です。硝酸塩はその“継続の勝率”を上げる小道具、という理解が一番ズレません。

血圧・血管への影響:健康面ではメリット。ただし低血圧の人は注意

硝酸塩はNOを介して血管を拡張するので、血圧が下がる方向に働くことがあります。
高血圧の人を対象にしたシステマティックレビューでも、ビートルート由来硝酸塩が収縮期血圧(SBP)を下げる可能性が報告されています。

ただし逆に、低血圧ぎみの人、立ちくらみが出やすい人、降圧薬を使っている人は注意が必要です。該当する場合は医療者に相談したうえで進めてください。

実践編:研究でよく使われる摂り方(量・タイミング・注意点)

「結局どう飲めばいい?」を、研究でよく使われる形に寄せてまとめます。

量の目安

研究で多い範囲は、硝酸塩として約5〜16.8 mmol。
現場で扱いやすいのは6〜8 mmolあたりです。

市販の濃縮ショットだと、70mLで約6.4 mmol(約400mg硝酸塩)という設計がよくあります。

タイミングの目安

ピークは摂取後およそ1〜3時間(よく言われるのは2〜3時間)なので、基本はトレの2〜3時間前が目安です。

単発か、数日ローディングか

単発でも効く可能性はあります。
一方で、数日〜の連続摂取で反応が安定する可能性も示唆されています。つまり、大事な日だけ単発で使うのもアリですし、血圧や持久の土台づくり目的で一定期間使うのもアリです。

口腔ケアの注意(超大事)

繰り返しですが、摂取の前後は殺菌系マウスウォッシュを避けるのが無難です。
口腔内細菌の働きが弱まると、NOルートが回りにくくなります。

こんな人は相性が良い可能性が高い

・有酸素やHIITを「少しでも楽に継続したい」人
・筋トレで「終盤の粘り」や「総仕事量」を上げたい人
・減量中でトレの質を落としたくない人
・脚トレや高ボリューム週で、回復を少しでも助けたい人

一方で、最大筋力を一本釣りしたい人は、体感が薄い可能性もあります(目的と期待値のズレが起きやすいです)。

副作用・注意点(安全に使うために)

・尿が赤くなる(ビート尿)は多くの場合無害
・低血圧ぎみの人は立ちくらみに注意
・降圧薬を服用中の人は医療者に相談
・腎結石リスクがある人は、ビーツのシュウ酸量に注意(不安があれば頻度や量を控える)

また、「加工肉の亜硝酸塩」と「野菜由来の硝酸塩」は文脈が違います。野菜にはビタミンCやポリフェノールなども含まれ、同じ言葉でも前提が変わります。混同しないのが安全です。

まとめ:硝酸塩は“勝率を上げる小道具”。当て方がすべて

ビートルート(硝酸塩)は、筋肉を増やす魔法でも、脂肪を溶かす薬でもありません。
しかし、NOを介して血流や運動効率に影響するため、トレーニングの質を底上げする可能性があります。

使い方の要点はこれです。
・トレの2〜3時間前に、6〜8 mmol目安
・持久系、HIIT、反復が欲しい筋トレ日に合わせる
・回復目的なら脚トレや高ボリューム週で試す
・殺菌系マウスウォッシュで自分の効果を潰さない

この記事を読んでレベルアップ


ジムのご案内

パーソナルジムEvolveは完全プライベート・手ぶらOK・7:00〜23:00で通いやすい。
大阪京橋・都島のパーソナルジムです。その他オンライン食事指導も行っております。
詳細はこちらからご覧ください。
👉 ホームページはこちら.
👉 体験予約ページはこちら
👉オンライン食事管理(LINEにて食事指導と送信ください)

コメント

タイトルとURLをコピーしました