今日は「カフェインは運動パフォーマンスを上げるのか」を、作用機序・運動種目別の効果・遺伝や性別の影響・睡眠と摂取タイミング・低用量の有効性・耐性・長期効果まで、まとめて解説します。さらに、結局どれくらいをいつ飲めば良いのかまで実務目線で整理します。
要約(まず結論)
- 効果は原則あり:有酸素・筋力・筋持久力・パワーの各領域でプラス。ただし効果量は小〜中で個人差は大。
- 定番プロトコル:運動60分前に体重×6mg。もっともエビデンスが厚い。
- しかし:6mg/kgは睡眠を強く阻害しやすい。したがって実務上は1.5〜3mg/kgの低〜中用量も現実的。
- 遺伝・性別:昔は差が強調されたが、最近の統合ではパフォーマンス差は明確でない。とはいえ副作用(眠気/不安/動悸)は個人差大。
- 摂取時刻:就寝への影響は想像以上に大きい。つまり夜トレ派は要注意。朝〜昼トレなら管理しやすい。
- 耐性:連日でやや減弱する一方、完全消失までは行きにくい。ゆえにトレ日限定や低用量ベース+要所で増量が実務向き。
カフェインが効く理由(作用機序)
まず、カフェインはアデノシン受容体アンタゴニスト(遮断薬)として働きます。つまり、日中に蓄積するアデノシンが受容体に結合して「疲労感」を出すルートを競合的にブロックし、主に中枢神経系から覚醒・努力感低下へ寄与します。さらに、骨格筋側のCa2+放出促進・再取り込み抑制という周辺機序も報告され、結果として収縮発揮を助ける可能性があります。
どの運動で効く?(種目別の概観)
統合レビューでは、次のように幅広くプラスが示唆されています。
- 有酸素能力:タイムトライアル短縮や仕事量増加。
- 最大筋力:1RMや瞬発的な出力に小〜中の改善。
- 筋持久力:レップ持続や平均出力の向上。
- パワー:ジャンプ/挙上速度などの改善が散見。
とはいえ、個人差は非常に大きいため、期待値は「平均すれば効くが、毎回/全員に劇的ではない」が現実的です。
遺伝と性別:結局、どれくらい影響する?
当初はCYP1A2(代謝)やADORA2A(アデノシン受容体)で差が語られました。ところが、研究が蓄積すると、パフォーマンスの差は安定せず縮小。つまり、「効くかどうか」は結局トライ&エラーです。一方で、副作用や睡眠妨害の出方は遺伝・性差・ホルモン(例:経口避妊薬で半減期延長)に影響されやすい点は、依然として実務上の論点です。
睡眠と摂取タイミング:6時間前なら安全…は神話
ネットの「就寝6時間前まで」は、根拠が弱い一般化です。研究では、用量が多いほど長時間影響し、200mg超級(プレワークアウト等)だと夜就寝までに抜くのは難しいのが実情。したがって、夜トレ前の高用量は避けるか、あるいは低用量へ切り替えるのが無難です。
低用量(1.5〜3mg/kg)でも効くのか?
意外にも、低用量でも筋力・持久系でプラスの報告が出てきています。もちろん、全員に再現的ではないものの、眠りを壊さずにリターンを得る現実的ラインとして価値が高い。例えば体重70kgなら100〜210mg(コーヒー1〜2杯+α)です。
長期効果と耐性
まず、4週間の介入でベンチプレスのパワー指標が改善した報告があります。ただし、最大筋力の伸びは有意差が出にくい場合もあります。さらに、連日投与で効果はやや減弱しがちですが、ゼロにはなりにくいのが中庸的な結論です。
実務ガイド:安全かつ賢い使い方
- まずは低用量から:1.5mg/kgでテスト。感触が良ければ最大3mg/kgまで。高用量(6mg/kg)は「勝負日」や「朝〜昼トレ」に限定。
- 60分前を目安:吸収ピークを合わせるため。ただし、胃が弱い人は30〜45分前+固形物少量で不快感を抑制。
- 夜トレは睡眠最優先:就寝影響が強いので、控える・低用量にする・ノンカフェインのNO系や炭水化物で代替の順に検討。
- トレ日限定で耐性管理:平常日はコーヒー1杯程度にし、トレ日だけサプリで上乗せ。あるいは週1〜2回のデロード(休薬)も有効。
- 副作用モニター:動悸、不安、胃部不快、手の震え、利尿過多、睡眠の質低下が出たら即減量・中止。特に不眠体質は要慎重。
- 形状の使い分け:コーヒー/錠剤/ガム/エナジードリンク。用量の正確さ=錠剤 > ガム > ドリンク。一方で、手軽さ・味=コーヒー。
Q&A:よくある誤解を正す
- Q1:6mg/kgが正義?
A:理論上は強いが、実務では睡眠と副作用が壁。ゆえに1.5〜3mg/kgから。 - Q2:遺伝で「自分は効かない」?
A:平均差は小。つまり、実際に自分でテストするのが最短。 - Q3:毎回同じように効く?
A:日差が大。したがって、大事な日ほど前夜睡眠・当日の栄養/水分で土台を整えるのが先。
実践チェックリスト(保存版)
- 開始用量:1.5mg/kg(例:70kg → 約100mg)
- タイミング:運動60分前(胃が弱ければ30〜45分)
- 夜トレ:基本は低用量/回避、就寝優先
- 耐性対策:トレ日限定+週1–2回休薬
- 副作用:一つでも出たら減量、持続するなら中止
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