カフェインは、筋トレ前に飲むと気合いが入る。だからこそ、昔から定番です。
しかし同時に、睡眠を壊して結果を遠回りさせることもあります。そこで今日は、筋トレ・ダイエット・体の変化という観点で、カフェインの効果と仕組みを論文ベースで整理します。
結論を先に言うと、カフェインは「主観的なキツさを下げて、出力を上げやすくする」ことが一番の強みです。
一方で、摂る時間を間違えると睡眠が削れ、回復と食欲コントロールが崩れます。つまり、使い方が9割です。
カフェインとは何か:効き始めと持続時間が意外と長い
カフェインは中枢神経刺激薬の一種です。まず重要なのは、吸収が速い点です。摂取後45分以内にほぼ吸収される、という古典的データがあります。
次に重要なのは半減期です。健康な成人でも平均は約5時間、さらに1.5〜9.5時間と幅があります。
そのため、夕方に摂ったカフェインが夜まで普通に残る、というのは珍しくありません。
仕組み:アデノシンのブレーキを外す
カフェインの中心的な作用は、アデノシン受容体のブロックです。
アデノシンは、日中の活動で脳内に蓄積し、眠気や疲労感を強める方向に働きます。だからこそ、カフェインはその“眠気シグナル”を弱め、覚醒度を上げます。
ここがポイントで、カフェインは筋肉を魔法みたいに増やす薬ではありません。
とはいえ、脳のブレーキが軽くなると「同じ重量が少し軽く感じる」「あと1〜2回が拾える」が起こりやすい。結果として、トレーニングの質が上がりやすくなります。
筋トレへの影響:筋力・反復・バー速度が伸びやすい
ISSN(国際スポーツ栄養学会)のポジションスタンドでは、カフェインは筋持久力、動作速度、筋力など多くの運動パフォーマンスを急性的に改善し得る、と整理されています。
さらに近年、レジスタンストレーニング中の「平均速度」「平均パワー」に注目した系統的レビュー/メタ分析では、カフェインが平均速度(SMD 0.42)と平均パワー(SMD 0.21)を有意に高めたと報告されています。
つまり、同じ回数設定でも“出力の質”が上がりやすい可能性があります。
ただし、全員に同じように効くわけではありません。
たとえば、普段のカフェイン摂取量が少ない人ほど伸びが大きい、という傾向も示されています。
有酸素・HIIT・競技系:一番再現性が高いのは持久系
同じISSNの整理では、持久系(Aerobic endurance)が最も一貫して恩恵が出やすい、とされています。
また、注意・集中といった認知面にもプラスに働き得るため、長時間や単調な運動ほど“効いた感”が出やすいです。
脂肪燃焼:上がることはある。ただし条件がある
ダイエット目的でよく語られるのが「脂肪燃焼」です。確かに、運動中の脂肪酸化(脂肪がエネルギーとして使われる割合)が上がった、というメタ分析はあります。
まず、空腹に近い条件(断食後の運動)を集めたメタ分析では、カフェインは脂肪酸化を高め得る一方、統計的に有意な増加を得るには3 mg/kg超が必要かもしれない、という示唆があります。
また、トレーニング経験が浅い人ほど効果が大きい可能性も述べられています。
一方で、「食後(直近5時間以内に食事)」でも脂肪酸化が増えた、というメタ分析もあります。しかも面白いことに、6 mg/kg未満の方が効果が大きく、6 mg/kg以上では効果が見えにくい、という結果でした。
さらに、持久系に鍛え込まれた人よりも、アクティブだが未トレーニング寄りの人で効果が大きい可能性があります。
つまり、脂肪燃焼だけを目的に大量摂取するのは合理的ではありません。
むしろ、少量〜中等量でトレの質や活動量を上げ、その結果として消費を積み上げる。これが現実的です。
睡眠:ここが最大の落とし穴
カフェインが睡眠を削ることは、かなり強いエビデンスがあります。
系統的レビュー/メタ分析では、カフェイン摂取により総睡眠時間が平均45分短くなり、睡眠効率が7%低下し、入眠までが9分長くなり、中途覚醒も増えたと報告されています。さらに深い睡眠(徐波睡眠)も減りました。
また同レビューでは、総睡眠時間の低下を避けるために、コーヒー1杯相当(約107mg)なら就寝の少なくとも8.8時間前、プレワークアウト相当(約217.5mg)なら少なくとも13.2時間前、という具体的な目安まで提示されています。
夜トレ民は、ここを無視すると高確率で損します。
だからこそEvolveでは、カフェインは「トレの質」より「睡眠」を優先して設計することを推奨します。
個人差:遺伝と習慣で“効き方”が変わる
同じ量でも効き方が違うのは、気のせいではありません。
CYP1A2(代謝に関わる遺伝子)による反応差をまとめたメタ分析では、遺伝子型によってパフォーマンス反応が異なる可能性が示されています。つまり、効く人と効きにくい人がいて当然です。
また、普段からカフェインを多く摂る人は、体感が鈍くなりやすい傾向もあります。
そのため、毎日ガンガン入れるより、必要な日に狙って使う方が“効き”を保ちやすいです。
Evolve流:目的別のおすすめ摂り方(実践)
ここからは、再現性重視でいきます。
量の目安(まずは少量から)
ISSNでは、運動パフォーマンス改善に一貫して使われる用量は体重あたり3〜6 mg/kg、最小有効量は2 mg/kg程度まで下がるかもしれない、とされています。
一方で、9 mg/kgのような高用量は副作用が増えやすく、必要ない可能性が高いです。
まずは以下のどれかで試すのが安全です。
・ライト:1〜2 mg/kg(体重70kgなら70〜140mg)
・スタンダード:3 mg/kg(70kgなら210mg)
・強め:4〜6 mg/kg(ただし不眠や動悸が出るなら即やめ)
タイミングの目安
一般的には運動の約60分前が王道です。
ただし、夜に弱い人は、就寝から逆算してカットオフ時間を決める方が重要です。
ダイエット中の使い方
脂肪燃焼狙いなら、空腹寄りの軽い有酸素前に少量、が理屈に合います。
とはいえ、睡眠が崩れるなら本末転倒です。だからこそ、夕方以降は基本カフェインなし、が勝ちやすいです。
注意が必要な人
妊娠中・授乳中は摂取上限の目安が一般成人と異なります。EFSAでは妊娠・授乳中は1日200mgまでが安全域の目安として示されています。
また、動悸・不安が出やすい人、睡眠が浅い人、胃が荒れやすい人は、量と時間をより慎重にしてください。
まとめ:カフェインは味方にも敵にもなる
まず、カフェインは筋トレの速度やパワー、持久力などを押し上げやすい。
次に、脂肪酸化が上がる可能性もあるが、量・食事状況・トレ状態で変わる。
そして最大の注意点は睡眠で、平均45分の睡眠短縮などのデータがある。
だからこそ、Evolveでは「少量から」「就寝時間から逆算」を基本に、体感と睡眠の両方を見て最適化することをおすすめします。
この記事を読んでレベルアップ
ジムのご案内
パーソナルジムEvolveは完全プライベート・手ぶらOK・7:00〜23:00で通いやすい。
大阪京橋・都島のパーソナルジムです。その他オンライン食事指導も行っております。
詳細はこちらからご覧ください。
👉 ホームページはこちら.
👉 体験予約ページはこちら
👉オンライン食事管理(LINEにて食事指導と送信ください)


コメント