クレアチンは「筋トレサプリ」以上の存在

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パーソナルジムEvolveの松下です。
クレアチンというと、「筋肉系の人が飲むサプリ」「水分で体重が増えるだけ」といったイメージを持たれがちです。しかし、実際にはクレアチンは筋トレのパフォーマンスだけでなく、ダイエット中の筋肉維持、さらには脳や骨など身体全体にも関わる成分です。

そこで今回は、クレアチンが筋トレとダイエット、そしてその他の身体の変化にどう関係するのかを、仕組みとエビデンスも含めて解説していきます。


クレアチンとは?基本とエネルギーの仕組み

まず、クレアチンはアミノ酸から体内でも合成される物質で、主に筋肉と脳に多く存在しています。特に筋肉の中では「クレアチン(Cr)」と「ホスホクレアチン(PCr)」という形で貯蔵され、このPCrが高強度トレーニング時のエネルギー源として非常に重要になります。

筋トレのような瞬発的な動きでは、まずATPというエネルギー通貨が使われます。ところが、ATPのストックは数秒で尽きてしまいます。そこで次に働くのがPCrです。PCrはADPにリン酸を渡すことで、再びATPを素早く再合成してくれます。つまり、PCrが多いほど「高強度で踏ん張れる時間」が少し長くなるわけです。

さらに、クレアチンを摂取すると筋細胞の中に水が引き込まれやすくなります。この「セルボリューム」の増加は、筋タンパク質の合成シグナルを刺激し、分解を抑えつつ合成を促す可能性があると報告されています。つまり、クレアチンはエネルギー面だけでなく、筋肉そのものの成長環境も整えてくれると考えられています。


筋トレとの関係:パフォーマンスと筋肥大

「あと1〜2回」を増やすサプリ

筋トレの現場レベルで言うと、クレアチンの効果は非常にシンプルです。
同じ重量でトレーニングしたときに、

  • いつも8回ギリギリの重量が、クレアチンを飲むと9〜10回できる
  • いつも3セット目で失速していたところが、少し粘れる

といった形で「あと1〜2回分の余力」が生まれやすくなります。すると、1回のトレーニングで扱える総ボリュームが増えます。当然、その積み重ねによって筋肥大と筋力アップが起こりやすくなります。

筋力アップのエビデンス

実際の研究でも、クレアチン+筋トレと、筋トレのみを比べたメタ分析では、

  • ベンチプレスなど上半身の最大筋力が、平均で約4kg以上上乗せ
  • レッグプレスなど下半身の最大筋力が、平均で約10kg以上上乗せ

といったデータが報告されています。細かい数字には多少のバラつきがありますが、全体として「クレアチンを飲んだグループの方が、最大筋力の伸びが明らかに大きい」という結果が一貫して出ています。

筋肉量アップのエビデンス

さらに、除脂肪体重(LBM:筋肉+骨+水分など)に関しても、クレアチン+筋トレの方が有利です。複数の研究をまとめた解析では、

  • クレアチンを飲みながら筋トレをした人は、平均で約1kg以上LBMが増加

という結果が出ています。また、より新しいメタ分析では、

  • LBM:+約1.1kg
  • 体脂肪率:−約0.9%
  • 体脂肪量:−約0.7kg

と、筋肉を増やしながら、わずかながら体脂肪も減っているというデータも報告されています。つまり、クレアチンは単に「体重を増やす」のではなく、「筋肉を増やしつつ、体脂肪を減らしやすくする」方向に働きやすいと考えられます。


ダイエットとの関係:体重より「体組成」で見る

ここからは、ダイエットとの関係を整理していきます。よくある誤解として、「クレアチンを飲むと体重が増えるから、減量中には邪魔」という考え方があります。たしかに、クレアチンを飲み始めると、多くの人は1〜2kgほど体重が増えます。しかし、この増加の正体は主に筋肉内の水分と筋肉量です。

体重は増えても、体脂肪は減りやすい

ダイエット中に本当に見たいのは、体重よりも「体脂肪」と「筋肉量」です。クレアチンを飲みながらカロリーを落として筋トレを続けると、

  • 体重:水分と筋肉で思ったより落ちない、場合によっては増える
  • 体脂肪:筋肉を守りながら落としやすい
  • 見た目:筋肉のハリが残り、引き締まって見えやすい

という変化が起こりやすくなります。とくに、減量後半で「扱える重量がガクッと落ちる」「パンプ感がなくなる」といった経験がある人ほど、クレアチンの恩恵を感じやすいはずです。

なぜ減量期に有利なのか?

理由はシンプルで、

  • 高強度トレーニングのパフォーマンス低下を抑える
  • その結果、筋肉に必要な刺激をキープしやすくなる
  • さらに、筋タンパク質の合成と分解のバランスが筋肉有利に傾く

からです。同じカロリー赤字でも、クレアチンがある方が「筋肉は残しつつ、脂肪を削る」という理想的な体組成の変化を起こしやすくなります。したがって、ダイエット期こそクレアチンをやめずに継続することをおすすめします。


その他の身体の変化:脳・骨・代謝への影響

クレアチンは筋肉だけでなく、脳にも多く存在します。そのため、最近は認知機能やメンタルへの影響も研究されています。

脳とメンタルへの影響

いくつかの系統的レビューでは、

  • ワーキングメモリ
  • 論理的思考
  • 情報処理速度

などの一部の認知機能が、クレアチン摂取によってわずかに改善したという報告があります。また、睡眠不足などストレスの高い状況では、クレアチンを摂ることでパフォーマンスの低下を抑えられたという研究もあります。

さらに、高齢者を対象とした研究では、クレアチン摂取と軽い筋トレを組み合わせることで、筋力の維持だけでなく、記憶力や注意力のスコアが改善した例も報告されています。もちろん、まだ研究段階の部分も多いですが、「脳のエネルギー不足をサポートする可能性があるサプリ」として期待が高まっています。

骨や日常動作への間接的なメリット

また、高齢者にクレアチン+筋トレを行った研究では、

  • 立ち上がり動作
  • 歩行スピード
  • 階段昇降

といった機能的なパフォーマンスが改善したという報告もあります。これは、クレアチンそのものが骨に直接効くというよりも、「筋肉が増えて動ける体になることで、結果的に骨や関節に良い影響が出ている」と考えられます。

血糖コントロールやインスリン感受性についても、改善の可能性を示すデータがありますが、こちらはまだ結論が出ていない段階です。したがって、糖尿病治療の主役として使うというより、「筋肉と運動のサポートとして、結果的に代謝にも良い影響が期待できる」くらいのイメージが現実的です。


安全性と副作用:腎臓は本当に大丈夫?

クレアチンで一番よく聞かれるのが、「腎臓に悪いのでは?」という不安です。しかし、健康な人を対象にした多くの研究では、

  • 3〜5g/日程度の摂取を、数ヶ月〜1年以上続けても
  • 腎機能に有害な変化は認められなかった

という結果が繰り返し報告されています。血液検査でクレアチニン値がやや上がることはありますが、これは「クレアチンを多く摂取しているから、その代謝産物が増えただけ」というケースが多く、必ずしも腎障害を意味しません。

ただし、すでに腎疾患を持っている方や、腎臓に負担のかかる薬を飲んでいる方は、必ず医師と相談したうえで判断する必要があります。この点は、どんなサプリでも同じです。

よくある副作用としては、

  • 一度に多量を飲んだときの胃のムカつき
  • 下痢やお腹の張り
  • 体重増加(主に筋肉内の水分と筋肉量)

などがあります。対策としては、ローディング期を無理に設けず、3〜5g/日を食後などに分けて飲むことで、多くの場合は問題なく継続できます。

また、「クレアチンでハゲる」という話もありますが、これはごく小さな研究でDHTの増加が報告されたことが発端です。現在のエビデンスとしては、「確実に薄毛を進行させる」とまでは言えず、因果関係もはっきりしていません。この点は今後の研究を待つ段階と言えます。

なお、クレアチンはドーピング禁止物質ではなく、アスリートも広く利用している合法サプリです。


実際の使い方:筋トレとダイエットへの組み込み方

最後に、実務的な使い方をまとめます。

どのクレアチンを選ぶか

まず、基本はクレアチンモノハイドレート一択で大丈夫です。ほかにも「バッファード」「マイクロナイズド」などいろいろありますが、研究が最も蓄積しているのはモノハイドレートですし、コスパも良いです。

摂取量とローディング

摂取方法としては、次の2パターンがあります。

  • ローディングあり
    • 1日20g(5g×4回)を5〜7日
    • その後は3〜5g/日に減らして継続
  • ローディングなし
    • 最初から3〜5g/日を続けていく

ローディングをすると、筋肉内のクレアチン量が早く飽和します。ただし、その分お腹を壊しやすくなるので、個人的には「ローディングなしで3〜5g/日を習慣化する」方法をおすすめします。時間は少しかかりますが、最終的な筋肉内の量は同じところに落ち着きます。

飲むタイミング

タイミングに関しては、「いつ飲むか」より「毎日忘れずに飲むかどうか」の方が重要です。そのうえで、できれば以下のようにすると吸収が少し良くなります。

  • 食事と一緒、特に炭水化物やたんぱく質と一緒に摂る
  • トレーニング前後のどちらかに飲む(習慣にしやすいタイミングでOK)

バルク期と減量期での使い分け

  • バルク期
    • クレアチン+高たんぱく+十分なカロリー+高ボリュームの筋トレ
    • 「重い重量でしっかり追い込む」環境を用意するサプリとして活用
  • 減量期
    • クレアチンは続ける
    • 体重の数字より、筋肉量・筋力・見た目を重視
    • 「前より重量が落ちにくい」「パンプ感が保ちやすい」状態を作り、筋肉を守る

このように使い分けることで、クレアチンは単なる“筋トレサプリ”ではなく、「年間を通して体づくりを支えるベースサプリ」として機能してくれます。


まとめ:クレアチンは“筋肉とパフォーマンスの土台”を支える

まとめると、クレアチンは

  • ATP-PCr系を強化し、高強度の筋トレパフォーマンスを底上げする
  • 筋肉内の水分量やシグナルに働きかけ、筋肥大をサポートする
  • ダイエット中の筋肉を守りながら、体脂肪を落としやすい体づくりに貢献する
  • 脳や高齢者の機能改善など、全身へのメリットも期待されている
  • 推奨量を守れば、安全性に関しても現在のエビデンスはかなりポジティブ

というサプリです。

クレアチン自体に「脂肪燃焼スイッチ」のような効果はありませんが、筋肉とパフォーマンスの土台を支えることで、結果的にボディメイク全体を有利に進めてくれます。筋トレやダイエットを本気で取り組む方にとって、クレアチンはかなり費用対効果の高い選択肢だと考えています。

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