筋トレを休むと筋肉・筋力は何週間で落ちる?休養期間と戻り方を科学で整理

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「忙しくて数週間トレーニングできない」「体調不良で休むことになった」。そういうとき、真っ先に不安になるのが筋力や筋肉量の低下です。

しかし、結論から言うと、落ち方には順番があります。つまり、筋肉量は比較的早く戻りやすく、逆に筋力はしぶとく残りやすい傾向があります。

そこで本記事では、休養(ディトレーニング)で筋力・筋肉量がどれくらい変化するのか、そして再開後にどれくらいのスピードで戻るのかを、研究データの要点を押さえながら解説します。

  1. まず押さえたい用語:休養・ベースライン・効果量
  2. 休むとどれくらい落ちる?2022年のメタ分析の要点
    1. 筋力:4〜6ヶ月休んでも、ある程度は残りやすい
    2. 筋力:ただし8ヶ月(約32週間)休むと未トレ者レベルへ戻りやすい
    3. 筋肉量:筋力より早く戻りやすく、3ヶ月で大部分が失われやすい
    4. 注意点:個人差と研究の質
  3. 休んだあと、どれくらいで戻る?2024年の「再開後の回復スピード」データ
    1. 研究デザイン:10週間トレ→10週間完全休養→10週間トレ vs 30週間連続
    2. 最初の10週間:筋力・筋肉量はしっかり伸びた
    3. 10週間の完全休養:筋力・筋肉量ともに大きく低下
    4. 再開後:最初の5週間で休養前まで回復し、残り5週間で連続群に追いつく
  4. なぜ戻るのが速いのか:筋肉の「記憶」を支える細胞の話
  5. 休んでも強く戻るために:衛星細胞を増やす科学的アプローチ
    1. まずは筋トレを継続する(最低ラインは3ヶ月)
    2. 次に強度:6〜12回で限界の負荷(6〜12RM)
    3. さらにセット数:週あたり各筋8〜16セット(目安10セット)
    4. そして頻度:最低でも週2回は刺激を入れる
    5. 加えてエキセントリック(遠心性)を戦略的に入れる
  6. 栄養:衛星細胞を増やすには「エネルギー」と「材料」が要る
    1. カロリー:維持カロリーより少しプラスへ
    2. タンパク質:1.6〜2.0g/kg/日、トレ後0.3〜0.5g/kg
  7. ホルモンと睡眠:結局ここが崩れると伸びない
  8. まとめ:休養の目安と、休んでも強く戻るための戦略
  9. この記事を読んでレベルアップ
  10. ジムのご案内

まず押さえたい用語:休養・ベースライン・効果量

最初に、読み違いを防ぐための用語整理です。

  • 休養(ディトレーニング):筋トレをやめる、あるいは実質的に刺激が入らない期間のこと
  • ベースライン:トレーニング前の状態(スタート地点)
  • 効果量:変化の大きさを示す指標(研究間の比較に使われることが多い)
  • 筋肉の横断面積:筋肉量の代表的な評価指標のひとつ(筋肥大の変化を捉えやすい)

ここを理解しておくと、後半の数字がスムーズに入ってきます。

休むとどれくらい落ちる?2022年のメタ分析の要点

2022年、複数研究を統合して「筋トレを休むと、筋力と筋肉量がどれくらい変わるか」を整理したメタ分析が報告されています。対象は合計20本の研究で、被験者は616名です。

結果として、筋力と筋肉量では落ち方がはっきり分かれました。

筋力:4〜6ヶ月休んでも、ある程度は残りやすい

まず筋力です。16〜24週間、つまり約4〜6ヶ月の休養を取ると筋力は低下します。とはいえ、トレーニング前(ベースライン)より高い状態を維持しているケースが多い、という結果が示されています。

さらに具体例として、種目別の効果量が紹介されており、ベンチプレスは効果量1.99、レッグプレスは3.16という値が挙げられています。

要するに、4〜6ヶ月休んでも「積み上げが全部ゼロ」ではなく、筋力のかなりの部分は残る可能性がある、ということです。

筋力:ただし8ヶ月(約32週間)休むと未トレ者レベルへ戻りやすい

一方で、32週間(約8ヶ月)という長期で筋トレを休むと、訓練していない人と同じレベルまで筋力が戻ってしまう可能性が示されています。

つまり、6ヶ月を超えて長引く休養では、筋力もベースライン付近まで低下しやすい、という整理になります。

筋肉量:筋力より早く戻りやすく、3ヶ月で大部分が失われやすい

次に筋肉量です。筋肉量(横断面積)は筋力より戻るスピードが早い、つまり落ちるのも早い傾向が示されています。

具体的には、12週間(約3ヶ月)の休養で筋肉の横断面積がほぼ元のレベルへ減少し、3ヶ月で筋肥大の大部分が消失する可能性が示唆されています。

加えて、6ヶ月時点では筋肉量の増加が0、つまり完全に元に戻っている(増やした分が消えている)ことが明らかになった、というまとめです。

注意点:個人差と研究の質

ただし、この領域のデータは研究の質が一様に高いとは限りません。また、年齢・トレ歴・休養中の活動量・食事・睡眠などで個人差も大きくなります。

それでも、長期間の休養によって筋力・筋肉量が元に戻りやすい、という大枠の方向性は押さえておく価値があります。

休んだあと、どれくらいで戻る?2024年の「再開後の回復スピード」データ

では、長めに休んだあと筋トレを再開したら、どれくらいの速さで戻るのでしょうか。この点を詳しく追った研究として、2024年に発表されたデータが紹介されています。被験者は55名です。

研究デザイン:10週間トレ→10週間完全休養→10週間トレ vs 30週間連続

方法は次の2群比較です。

  • 週2回で10週間トレーニング → 10週間の完全休養 → 10週間トレーニング
  • 週2回で30週間連続トレーニング

最初の10週間:筋力・筋肉量はしっかり伸びた

まず最初の10週間では、当然ながら両グループとも筋力・筋肉量が向上しています。具体例として、レッグプレスの筋力が約+21%、上腕(二頭筋)の筋肉量が約+17%、外側広筋(大腿部)の筋肉量も約+17%という結果が示されています。

10週間の完全休養:筋力・筋肉量ともに大きく低下

次に10週間の完全休養を入れると、筋力・筋肉量ともに大幅な低下が確認されました。レッグプレスは約-5.4%、上腕(二頭筋)の筋肉量は約-7.3%、大腿部も約1桁%台の低下が示されています。

つまり、10週間休むと「完全に元通り」までは戻らないものの、確実に落ちる、という現実的な結果です。

再開後:最初の5週間で休養前まで回復し、残り5週間で連続群に追いつく

そして重要なのが再開後です。再び10週間トレーニングを行うと、最初の5週間で休養前の筋力・筋肉量を獲得でき、その後の5週間で連続してトレーニングしているグループと同等の筋力・筋肉量に到達した、という結果が示されています。

言い換えると、休んで落ちた分は、戻るときに加速がかかりやすい可能性がある、ということです。

なぜ戻るのが速いのか:筋肉の「記憶」を支える細胞の話

研究者は、筋肉に存在する筋核や衛星細胞(サテライト細胞)などの仕組みが、再開後の伸びやすさに関与する可能性を示唆しています。

ざっくり言えば、トレーニングで筋肉の中の準備要素が増え、短期間の休養ではそれが消えにくい。だからこそ、再開すると再び刺激され、筋力・筋肥大が伸びやすくなる、という考え方です。

もちろん仮説の領域も含みますが、現場感としても納得しやすい説明です。

休んでも強く戻るために:衛星細胞を増やす科学的アプローチ

ここからは「どうすれば、休んでも戻りやすい体を作れるか」です。ポイントは大きく4つあります。まずはトレーニング、次にエネルギー(カロリー)、さらにタンパク質、そして睡眠です。

まずは筋トレを継続する(最低ラインは3ヶ月)

当たり前ですが、筋トレをすることで衛星細胞が増えやすいことが示されています。

そして重要なのは期間です。動物実験では短期間でも増加が見られますが、人間では最低でも約3週間〜最長で12週間程度を要するケースが多い、という整理がされています。

したがって、まずは3ヶ月は継続する、という意識が現実的です。さらに、同じ種目を3ヶ月継続することで、その種目に関連する衛星細胞が増えたという報告もあり、種目を体に慣れさせる意味でも継続が有利です。

次に強度:6〜12回で限界の負荷(6〜12RM)

次に強度です。科学的に整理されている主張として、高強度〜中強度の負荷でないと衛星細胞が増えにくい、という点があります。

目安として多いのが6〜12RMです。つまり、10回前後で限界になる重さを軸にする、ということです。

なお、低負荷・高回数でも筋肥大は可能ですが、新たな衛星細胞の増加という観点では、ベースは中〜高強度に置く、という整理になります。

さらにセット数:週あたり各筋8〜16セット(目安10セット)

次にボリュームです。1週間のうち、各筋肉に対して8〜16セット行うことで衛星細胞が増えやすい、という目安が示されています。

分かりやすくするなら「週10セット」を基準にし、週3回ジムに行くなら、1回あたり各筋3セット前後を積むイメージです。

そして頻度:最低でも週2回は刺激を入れる

頻度も重要です。目安として、最低でも週2回は同じ筋肉に刺激を入れることで衛星細胞が増えやすい、という整理がされています。

つまり、同じ部位を週1回だけに固定するより、分割して週2回にする方が理にかなうケースが増えます。

加えてエキセントリック(遠心性)を戦略的に入れる

遠心性収縮(下ろす局面)を強調したトレーニングが、衛星細胞の増加に関与する可能性が示されています。

ここで大事なのは、単に「ゆっくり下ろす」だけではなく、遠心局面の負荷を高める工夫です。例えば次のような方法です。

  • プリチャーカールで、上げる局面は両腕、下ろす局面は片腕にして負荷を上げる
  • レッグプレスで、押す局面は両脚、戻す局面は片脚にして負荷を上げる

なお、安全性の観点から、まずはマシン種目で導入するのが現実的です。

栄養:衛星細胞を増やすには「エネルギー」と「材料」が要る

トレーニングだけでは不十分です。というのも、細胞の増殖や分化にはエネルギーが必要だからです。

カロリー:維持カロリーより少しプラスへ

カロリー制限(維持カロリー以下)では衛星細胞の増加が抑制される可能性が示されています。

したがって、衛星細胞を増やす狙いがあるなら、少なくとも維持カロリーよりプラスに持っていく意識が重要です。

ただし、がっつり過剰摂取して太れば衛星細胞が大幅に増える、という単純な話ではありません。要するに「無理な削り過ぎを避ける」ことが実務的なポイントです。

タンパク質:1.6〜2.0g/kg/日、トレ後0.3〜0.5g/kg

材料としてのタンパク質も重要です。目安として、体重1kgあたり1.6〜2.0g/日のタンパク質摂取で衛星細胞の増加が確認された、という整理がされています。

さらに、トレーニング直後に体重1kgあたり0.3〜0.5gの摂取を意識することも推奨されています。

つまり、1日の総量と、トレ後の摂取タイミングの両方を押さえるのが合理的です。

ホルモンと睡眠:結局ここが崩れると伸びない

最後に、テストステロンや成長ホルモンといったホルモン環境、そして睡眠です。特に成長ホルモンの分泌量を増やすことで衛星細胞が増えやすい可能性が示されています。

そして、最も手っ取り早い手段は睡眠の量と質の確保です。寝不足は筋肉にとって明確にマイナスに働きます。

そのため、まずは次を徹底してください。

  • 就寝前のスマホ操作を控える
  • 朝日を浴びて体内リズムを整える
  • 睡眠時間を安定させる(平日と休日で極端にズラさない)

結局のところ、睡眠が整うだけでトレーニング効率も回復力も上がり、衛星細胞が増えやすい土台が作れます。

まとめ:休養の目安と、休んでも強く戻るための戦略

最後に要点を整理します。

  • 筋力は比較的残りやすく、約4〜6ヶ月の休養でもベースライン以上を維持しやすい可能性がある
  • ただし約8ヶ月(32週間)休むと、未トレ者レベルまで戻りやすい可能性がある
  • 筋肉量(横断面積)は落ちやすく、約3ヶ月(12週間)で大部分が元に戻りやすい
  • 一方で、休養後に再開すると回復が加速し、休養前に戻るまでの期間が短くなる可能性がある
  • そのためには、3ヶ月継続×6〜12RM×週10セット×週2回×遠心性の工夫が軸
  • さらに、維持カロリーより少しプラス、タンパク質1.6〜2.0g/kg/日、睡眠の最適化が土台

つまり、休むこと自体を過度に恐れる必要はありません。ただし、長期化するほど戻るものは確実に増えます。だからこそ、日頃から「戻りやすい体の仕込み」をしておく価値があります。

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