ネガティブトレーニング理論は「終わり」なのか?——2025年メタ分析から実務的な結論

筋力アップ

要点(まず結論):
・「ネガティブ◯秒」で筋肥大や筋力が劇的に伸びる——その優位性は平均するとほぼゼロ。一方で、パワー(跳躍など)は速いエキセントリックが有利です。
・ただし、ゆっくり下ろすほど常に悪いわけでもありません。トレーニーの経験やボリューム管理次第で、長めのエキセントリックが筋力にわずかに有利となる条件も示唆されています。
・結局、重力任せに落とさず「コントロール」しつつ、過度に遅くしないこと。したがって、日々は重量・回数・総ボリュームの更新を最優先に設計しましょう。


2025年メタアナリシスの中身

2025年の系統的レビュー+メタアナリシス(Amdi & King, Journal of Sports Sciences)は、エキセントリック局面の長短が筋力・筋肥大・カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)に与える影響を比較しました。結果は次の通りです。

  • CMJ(パワー系)は「速いエキセントリック」が有利(短い下降=SEGで改善)。
  • 筋力・筋肥大は全体として差が不確実(実質ほぼ同等)。
  • ただしサブ解析では、訓練経験者やボリュームを厳密に揃えた条件で「長いエキセントリック(LEG)」が筋力増加でやや優位という可能性が示唆。

つまり、「ネガティブゆっくり=常に正義」でも「完全に不要」でもありません。目的(パワーか筋肥大/筋力か)、訓練歴、ボリューム設計で最適値は動きます。


インフルエンサーが言う「◯秒でデカくなる」は本当か?

率直に言えば、普遍的優位は確認されていません。平均効果量は筋肥大でほぼゼロ、筋力も不確実、そしてパワーは速い方がよい傾向です。したがって、「◯秒にすれば劇的に伸びる」という万能主張はエビデンスと整合しません


とはいえ、エキセントリックを「無視」してよいわけではない

しかし、速くし過ぎて重力任せに落とすと、筋の張力を逃がし、腱・結合組織へ過剰ストレスがかかる可能性があります。ゆえに、落下はさせず“コントロール”することが基本。遅くし過ぎず、雑にもしない——この中庸が安全面・効率面で最適解です。


反証・補足:部位や条件で「遅め」が有利なケースもある

実験研究では、スクワットで4秒エキセントリック1秒よりも大腿外側広筋の肥大と1RM向上で有利だった報告もあります。さらに、タイプI線維優位など筋特性の違いで反応が変わる可能性も議論されています。したがって、部位・課題・対象者で最適テンポは揺れ得ます。


実務への翻訳:今日からこうする

  1. 基本軸は“コントロール+過度に遅くしない”
    ・目安は1–2秒で下ろす(種目・負荷により可変)。反動や落下は避ける。
  2. 目的別に微調整する
    ・パワーやRFD(力の立ち上がり)を伸ばしたい日は、速めのエキセントリック→切り返し素早く
    筋力/筋肥大が主目的の日は、テンポよりボリューム管理と漸進(重量・回数・セット)を優先。必要ならやや長めを挿す程度。
  3. 週全体で整える
    ・「速めの日」「標準の日」をプログラム内で共存。つまり、テンポは手段であって目的ではない

よくある質問

Q. ネガティブは常に速くした方がいい?
A. いいえ。落下はNG張力を感じる速さコントロールしましょう。

Q. ネガティブを“超”ゆっくりにすればもっと効く?
A. 平均的には優位性は薄い。むしろパワーには逆効果。ただし、部位や条件により例外はあり得ます。


まとめ

だから、「ネガティブ何秒」論争に時間を使うより、コントロールを守りつつ重量・回数・総ボリュームを更新しましょう。結果として、安全性は落とさず、進歩の速度は上げられます。そして、パワーを伸ばす日速めのエキセントリック筋力/肥大重視の日標準〜やや長めでもOK。テンポは“目的のためのダイヤル”です。

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